[00:01.21]夏風がノックする窓を開けてみると
[00:06.93]何処からか迷い込んだ鳥の声
[00:11.81]
[00:13.91]読みかけの本を置き
[00:16.51]「何処から来たんだい」と笑う
[00:19.73]目隠ししたままの午後三時です。
[00:24.49]
[00:27.96]世界は案外シンプルで
[00:31.00]複雑に怪奇した私なんて
[00:35.32]誰に理解もされないまま
[00:39.00]
[00:40.84]街外れ、森の中、
[00:43.66]人目につかないこの家を
[00:46.94]訪れる人などいない訳で。
[00:51.02]
[00:51.50]目を合わせないで!
[00:54.17]
[00:54.53]固まった心、一人ぼっちで諦めて
[00:59.89]目に映った 無機物(もの)に安堵する日々は
[01:05.80]物語の中でしか知らない
[01:09.32]世界に少し憧れる
[01:12.56]ことくらい許してくれますか?
[01:17.96]
[01:19.32]淡々と流れ出した
[01:22.11]生まれてしまった理不尽でも
[01:25.87]案外人生なんで。私の中じゃ。
[01:32.02]
[01:32.30]ねぇねぇ、突飛な未来を想像して
[01:36.71]膨らむ世界は今日か明日でも
[01:42.31]ノックしてくれないですか?
[01:46.67]
[01:58.18]なんて妄想なんかして
[02:00.49]外を眺めていると
[02:03.61]突然に聴こえてきたのは喋り声
[02:08.53]
[02:10.80]飲みかけのハーブティーを
[02:13.28]机中に撒き散らし
[02:15.97]「どうしよう・・・」と
[02:17.41]ドアの向こうを見つめました。
[02:20.61]
[02:21.09]「目を合わせると石になってしまう」
[02:26.17]それは両親に聞いたこと
[02:29.44]私の目もそうなっている様で
[02:33.76]
[02:35.68]物語の中なんかじゃいつも
[02:38.91]怖がられる役ばかりで。
[02:42.08]そんなこと知っている訳で。
[02:47.75]
[02:49.02]トントン、と響きだした
[02:51.74]ノックの音は初めてで
[02:55.58]緊張なんてものじゃ足りないくらいで。
[03:01.65]
[03:01.88]ねぇねぇ、
[03:02.64]突飛な世界は想像しているよりも
[03:08.06]実に簡単にドアを開けてしまうものでした。
[03:44.95]目を塞ぎうずくまる姿に
[03:48.15]その人は驚いて
[03:51.39]「目を見ると石になってしまう」と言うと
[03:56.10]ただ笑った。
[03:57.55]
[03:57.94]「僕だって石になってしまうと、怯えて暮らしてた
[04:03.90]でも世界はさ、案外怯えなくて良いんだよ?」
[04:10.94]
[04:17.29]タンタン、と鳴り響いた
[04:19.85]心の奥に溢れてた
[04:23.57]想像は世界に少し鳴り出して
[04:29.84]
[04:30.00]ねぇねぇ、突飛な未来を教えてくれた
[04:34.92]あなたがまた迷ったときは
[04:39.64]
[04:40.09]ここで待っているから。
[04:53.02]
[05:14.92]
[05:17.96]夏風が今日もまた
[05:20.64]あなたがくれた服の
[05:23.95]フードを少しだけ揺らしてみせた 。