[00:10.930]人里離れた地に安寧を求め
[00:15.980]隠れるように生きていた二人
[00:21.380]
[00:44.400]ah... 忙しげに 研究を続ける隠者
[00:54.370]ひたすら苦しげに 眠ることも惜しむほどに
[01:04.810]ah... その主人に 仕えるは魔法掛けの
[01:15.020]少女の形した 精巧なる人形
[01:25.620]魂持たぬツクリモノ
[01:30.010]けれどそんな扱いを受けることなく
[01:35.740]娘のように愛され 少女人形は主を支えていた
[01:44.660]
[01:45.620]ふたりともに向かい合って過ごす
[01:50.380]瞬間は多くないけど
[01:55.500]食事の時間だけはたくさん話せた
[02:00.750]一日の中特別なMemory
[02:06.180]絵本を読み意味がわからず開く
[02:10.760]「愛とはなんですか?」
[02:15.860]どんな疑問にさえも
[02:18.850]丁寧に答えくれた主がはじめて戸惑う――――
[02:26.070]その言葉の意味はそれぞれ
[02:31.570]人により異なるという
[02:36.110]「リズにとって愛は?」 答えはわからずに……
[02:46.920]
[02:49.950]「次の休日には、街に買い物にいこうね」
[02:54.180]『主にそう告げられたリズ。
[02:56.770]隠者が以前に休日をとったのはいつだっただろう。
[03:01.470]それは遠い昔のことのようにさえ思えて。
[03:05.600]それでも健気に、
[03:07.200]その日が訪れるのを待ち続けた――――』
[03:09.320]
[03:10.060]ah... 「僕にとっての愛とは、その人のために
[03:20.060]何かを見返りなく 与えることなのだろう」
[03:30.780]主は深い戸惑いを隠しきれず 懸命にそっと囁く
[03:40.800]「たとえば、それは君の命吹き込んだように」と
[03:50.070]
[03:50.790]大きな手で撫でてもらうことは、とても嬉しいけど
[04:00.730]その手に力はなく疲労を感じて
[04:05.760]支えきれない無力を呪った
[04:11.200]なんのための研究かも知らない
[04:15.910]無知で莫迦ば私
[04:21.100]どこかへ連れていっれ、なんてこと言わない。
[04:26.240]ただもう少し休んでくれたら――――
[04:31.220]考え込む背中――――そこに
[04:36.620]寄りかかるだけではなくて
[04:41.190]少しでも頼ってもらえる存在になろう……
[04:51.820]
[04:53.670]ずっと根を詰めて休むこともせずに
[04:59.650]没頭した報いか
[05:05.340]力尽きて倒れる隠者の寝顔は、
[05:10.830]解き放たれたように安らかに……
[05:16.510]
[05:20.110]『隠者の研究は、このままでは長くは持たず、
[05:24.550]動きを止めてしまうかもしれない少女のためのもので――――。
[05:29.240]彼女に眠りと死の違いはわからず、
[05:32.760]ただ主が起きるのを待ち続けていた……』
[05:35.390]
[05:38.350]「こんなにゆっくりと眠ってくださるのは久しぶり。
[05:42.400]お仕事が一段落ついたのかしら?
[05:45.060]次の休日には、一緒に買い物にという約束。
[05:50.110]その日も遠くないのかもしれない。
[05:53.390]どんな服をきていこう。
[05:55.620]わかった気がした。
[05:57.960]私にとっての愛とは、その日を待ち続けること。
[06:02.840]ふたりで過ごす休日。きっと、素敵な一日になる――――」
[06:08.970]