目覚めたばかりの
青白い静かな町を抜け
準急の電車は新宿へ向かっていく
頼りない足取りで坂道を下り
少しだけ残る胸の痛みを
蝉の声が揺らしていた
はるかに続く家並みが
君を迎え送り出す
多摩川を越えて少しずつビルが増えていく
眠い目をこすり
鉄橋が刻むリズムの向こう
河川敷を走る子供たちが手を振る
信じたいいくつかの温もりのそばで
躊躇わず歩くことができるのなら
次の駅で降りてみよう
戻ることない道のりに
すれ違いを繰り返して
朝の光、街の色を少しずつ濃くしていく
選ぶものも捨てるものも
ポケットにただ押し込んで
誰かが待っているはずの改札へ急ぐ
今日が動き始める